中野サンプラザの取り壊しと再開発の経緯について

2023年閉館後、2025年に建設費高騰を要因に、取り壊しの進まない中野サンプラザ。
そもそも、なぜ中野サンプラザが壊さすことになったのか、そして新しい中野サンプラザを作るためにどのような経緯を辿ってきたをまとめてみました。
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1.なぜ中野サンプラザを壊さなくてはいけないのか
2.新しいにぎわいを作るサンプラザ地区の再開発
3.区長交代における中野サンプラザ整備計画の見直し4.中野サンプラザ解体の方針の決定
5.新しい中野サンプラザ開発事業者プレゼン
6.採択:事業者の決定
7.最後に
1.なぜ中野サンプラザを壊さなくてはいけないのか
もともと中野サンプラザは、中野区の建物ではなく、雇用能力開発機構という厚労省が所管する建物でした。2002年に国の省庁改革の一貫で、省庁が保有する保養所などを、民間に売却していっていました。
中野サンプラザの立地を考慮し、「外資系や金融関係企業が落札すると、地域のまちづくりに悪影響が出る」と懸念の声が上がり、厚労省と中野区が折衝を行い、2004年に中野区は民間企業グループと共同出資で設立した第3セクター「株式会社まちづくり中野21」が約52億円で取得しました。その後、2008年に株式会社まちづくり中野21の株式を約9億7千万円で中野区が取得(さらに引き継ぐ新運営会社を全株式約4億500万円で取得)し、正式に中野区所管の施設となりました。
まちづくりの活性化を前提に取得した中野サンプラザですが、取得以前に建物の維持管理が問題視されており、取得後耐震検査を行ったところ、耐震基準を満たしていないことは2012年に判明し抜本的な対策が必要になりました。
2.新しいにぎわいを作るサンプラザ地区の再開発
中野サンプラザの耐震補強や設備更新には、当時100億円以上のコストがかかると診断されていました。多額な費用がかかることから、建て替え方が合理的という判断にいたりました。この建て替えを起点に、中野駅周辺の再開発を行う計画である新しいまちづくりを行うグランドデザインが2014年に発表されました。
3.区長交代における中野サンプラザ整備計画の見直し
2018年に行われた中野区長選挙では、中野サンプラザおよび中野駅周辺の都市開発が大きな争点となりました。
a.中野サンプラザの再開発
当時現職の田中大輔氏は、中野サンプラザを解体・再開発する方針を強く推進していました。一方で、当時新人酒井直人氏(現区長)は「現計画の進め方には疑問がある」として、再開発の見直しを訴えました。特に、中野サンプラザを解体するかどうかは大きな論点となり、再開発計画の進行を懸念する有権者の支持を集めました。
b.中野駅周辺の都市開発
中野駅周辺の再開発計画が進んでおり、住民の意見が分かれていました。
田中氏は「中野のさらなる発展」のために大規模再開発を推進。酒井氏は「住民の声を十分に反映していない」とし、より慎重な開発を求める姿勢を示しました。
この選挙では、酒井氏が当選し、中野サンプラザの解体、および都市計画の見直しが推し進められると思われました。
4.中野サンプラザ解体の方針の決定
新たな複合施設および、整備計画は見直しを行い、2018年3月に策定された「中野四丁目新北口地区まちづくり方針」が発表されました。
1万人規模のホールは、7000人規模のホールに変更などの見直しを行いましたが、前出の選挙結果とは裏腹に、中野サンプラザは解体し、その跡地に新たな複合施設を建設することが計画されました。
改めて耐震補強と整備更新と、建て直しのコストを見直した時に、中野サンプラザの建て直しを図った再開発を行った方が合理的という判断でした。
4.中野サンプラザ解体の方針の決定
新たな複合施設および、整備計画は見直しを行い、2018年3月に策定された「中野四丁目新北口地区まちづくり方針」が発表されました。
1万人規模のホールは、7000人規模のホールに変更などの見直しを行いましたが、前出の選挙結果とは裏腹に、中野サンプラザは解体し、その跡地に新たな複合施設を建設することが計画されました。
改めて耐震補強と整備更新と、建て直しのコストを見直した時に、中野サンプラザの建て直しを図った再開発を行った方が合理的という判断でした。
5.新しい中野サンプラザ開発事業者プレゼン
中野サンプラザを含む中野駅新北口駅前エリアの再開発に関する民間事業者の募集(コンペ)は、2020年(令和2年)1月に中野区が策定した「中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画」に基づいて行われました。
主な要件は、以下のとおりです。
A.多目的ホールの整備
中野サンプラザのDNAを継承し、最大7,000人規模の多目的ホールを整備すること。
B.複合施設の開発
ホールに加えて、オフィス、住宅、商業、ホテルなど多様な都市機能を持つ複合施設を開発すること。
C.歩行者ネットワークの構築
中野駅周辺の回遊性を高めるため、立体的な歩行者ネットワークや広場空間を整備すること。
D.持続可能性の確保
環境性や防災性に優れた空間創出、エリアマネジメントの取り組みなど、地域の持続可能性を高めること。
下記は、要件の詳細です。
https://kugikai-nakano.jp/shiryou/2026102358.pdf?utm_source=chatgpt.com
これらの要件を満たす提案を募集し、民間事業者の選定が進められました。
6.採択:事業者の決定
中野サンプラザおよび北口駅前エリアの再開発に関する民間事業者の公募型プロポーザル(コンペ)は、2020年1月に中野区が策定した「中野駅新北口駅前エリア再整備事業計画」に基づいて実施されました。
コンペの結果:
2021年3月:選考の結果、野村不動産株式会社を代表とするグループが施工予定者として選定されました。このグループには、東急不動産株式会社、住友商事株式会社、ヒューリック株式会社、および東日本旅客鉄道株式会社が共同事業者として参加しています。
計画の概要:
施設構成:新たな複合施設には、最大7,000人規模の多目的ホール、オフィス、住宅、商業施設、ホテルなどが含まれる予定です。特に、多目的ホールは中野サンプラザのDNAを継承し、音楽や文化の発信拠点として機能することが期待されました。
この時点で計画されていた建物の高さは約262メートル、延床面積は約298,000平方メートル。
7.今後の進行
建設費高騰を受け、2025年1月に新たな建設計画が提案されました。2025年2月時点では、建物の計画周辺の開発や賑わいに関わる取り組みなど、エリアマネージメント構想は発表されておりません。
※追記:2025年3月10日に、再開発事業予定者の野村不動産などに基本協定の解除を申し入れる方針を正式に表明しました。
8.最後に
2002年当時に起こった「外資系や金融関係企業が落札すると、地域のまちづくりに悪影響が出る」と懸念の声が起こり、厚労省から中野区が中野サンプラザを取得しました。あれから20年以上の月日がたちました。まちづくりをするには膨大な時間がかかります。
建物を建てれば終わりではなく、そこからが本当のまちづくりが始まります。
目の前の課題である「どんな建物を建てるか」だけではなく、地域が活性化するまちづくり構想を構築しなければ、今回の再開発は失敗に終わる可能性があります。
まちづくりに対してのご意見等あれば、SNSやWEBサイトに掲載しますので、DMやコメントで是非ご意見をください。